基本的な考え方、推進組織はこちら
硫黄酸化物(SOx)の排出については、自家発電を実施している四日市工場に排煙脱硫装置を設置し削減を図っています。また、窒素酸化物(NOx)の排出についても、低NOxバーナーや脱硝装置の導入によって大幅な削減を実施してきました。また、2013年度に鹿島工場(鹿島南共同発電)で燃料転換(重油→都市ガス)したことでSOx排出量およびNOx排出量は減少し、2017年度も維持しています。
引き続き最良の削減技術を採用し、継続的な改善を図っていきます。
JSRではVOC排出量を2000年度対比で75%削減するという高い自主目標を掲げ、2006年度から2009年度にかけて大型投資を行い、合成ゴム乾燥排気の燃焼処理設備を3工場で5基設置しました。また、排出箇所の密閉性強化や薬液サンプリング時のクローズ化等による作業方法改善、バルブからの漏洩防止対策等のきめ細かな維持管理活動を推進してきました。この結果、2017年度のVOC排出量は912トン(2000年度対比78%削減)となり、自主目標を達成しています。今後も、生産量を維持・拡大していく中で大型投資をせずに、合成ゴム乾燥排気の燃焼処理設備の適正な運転やきめ細かな維持管理活動を徹底し、現在の自主目標レベル(2000年度対比75%削減)を維持していきます。
※1 VOC:Volatile Organic Compound(揮発性有機化合物質)
(テクノポリマー(株)*、ジェイエスアールクレイトンエラストマー(株)、日本ブチル(株)鹿島工場を含む)
*テクノポリマー(株)は、2018年4月1日付でユーエムジー・エービーエス株式会社と事業統合し、テクノUMG(株)となりました。
2015年4月からフロン排出抑制法が施行され、冷媒としてフロン類が充填されている第一種特定製品(業務用エアコン、冷凍・冷蔵機器等)を使用している全ての事業者に、管理者としての判断基準の遵守(簡易点検、定期点検、点検記録等)、及び、1年間の漏洩量が事業者全体で1,000t-CO2以上の場合、所管大臣への報告が義務化されています。
この為、JSRでは、フロン使用機器管理基準を作成し、当該手順書に基づいて適切な管理を継続しています。2017年度のフロン類の漏えい量は632t-CO2でした。
今後も同法に基いた適正管理を継続し、漏えい量削減につなげていきます。
JSRでは、「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(PRTR法)」に基づき、毎年、製造あるいは使用した指定化学物質について、環境(大気、水域、土壌)への排出量および移動量を集計し、国に届け出ています。これまで排出量が多く環境への影響が大きいと考えられる物質を中心に、排出源の密閉性強化や燃焼による無害化処理、製造プロセス改善等の対策を計画的に実施してきた結果、2017年度のPRTR法に基づく対象物質の大気排出量(290トン)は1995年度対比で約89%の削減となりました。
※2 PRTR:環境汚染物質排出・移動登録
(テクノポリマー(株)*、ジェイエスアールクレイトンエラストマー(株)、日本ブチル(株)鹿島工場を含む)
*テクノポリマー(株)は、2018年4月1日付でユーエムジー・エービーエス株式会社と事業統合し、テクノUMG(株)となりました。
政令 指定 番号 |
物質名称 | 取扱量※3 (t) |
排出量 | 移動量※4 (t) |
||
---|---|---|---|---|---|---|
大気 (t) |
水域 (t) |
土壌 (t) |
||||
9 | アクリロニトリル | 43,014.9 | 7.8 | 0.0 | 0.0 | 7.9 |
186 | ジクロロメタン(別名塩化メチレン) | 11.4 | 1.8 | 0.0 | 0.0 | 7.2 |
240 | スチレン | 127,075.1 | 20.4 | 0.0 | 0.0 | 8.7 |
300 | トルエン | 2,993.1 | 63.2 | 0.2 | 0.0 | 247.4 |
351 | 1,3−ブタジエン | 582,081.5 | 9.7 | 0.0 | 0.0 | 0.9 |
392 | ノルマル−ヘキサン | 1,199.2 | 181.5 | 0.0 | 0.0 | 82.3 |
243 | ダイオキシン類※5 | − | 0.1478 | 0.0020 | 0.0000 | 0.0000 |
(その他の化学物質等の詳細はESGデータを参照)
※3 取扱量は裾切り後(1トン/y・事業所)の値
※4 移動量は、廃棄物中間処理業者への委託量および公共下水への移動量
※5 ダイオキシン類 単位:mg-TEQ
JSRは、石綿障害予防規則に従い、グループ企業を含めた全施設(社屋・製造・研究開発・福利厚生)に対して石綿を含有した材料が吹きつけられた個所の調査を行い、その結果判明した工場内の該当個所については、2006年度に撤去工事、囲い込み工事を完了しています。また石綿を含有したガスケット類についても非石綿品への代替検討を進め、安全性が確認されたものから順次代替を実施しています。
また、建築物等の解体作業等を行う場合は、従事する労働者が、石綿ばく露によって健康障害をきたすことがないように、大気汚染防止法並びに石綿障害予防規則に基づく適切な対応を継続しています。
なお、厚生労働省労働基準局による石綿健康管理手帳、および労災補償特別遺族給付金等の制度周知の要請に対応し、当社のホームページを利用して従業員に厚生労働省のリーフレットを紹介しています。
JSRでは、「PCB廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」に従いPCB廃棄物を適切に保管・管理するとともに、順次、法令に従って無害化処理を実施しています。
電力機器 | 台数 | PCB含有油量(L) |
---|---|---|
保管機器 | 6 | 10,166 |
使用中機器 | 0 | 0 |
計 | 6 | 10,166 |
これまでに処理した量 (現在の処理状況 %) |
302 (98.1) |
174,767 (94.5) |
2018年3月31日時点
JSRは、製造や研究拠点の近隣にお住まいの方々の声を大切にすることと透明性の高い工場運営は地域環境改善の基本であると考え、モニタリングや環境施設見学会等を定期的に実施し、改善に取り組んでいます。
2006〜2007年度に臭気対策として、合成ゴム乾燥排気の燃焼処理設備(RTO※6)を四日市・鹿島・千葉工場に設置したほか、2008年度には、騒音・光害対策として四日市工場にグランドフレアーを設置しました。また、これらの環境保全設備の維持管理を徹底することにより、2008年度から2017年度まで環境苦情ゼロを継続しています。
今後も地域環境改善に対する基本姿勢を崩すことなく、努力していきます。
※6 RTO:Regenerative Thermal Oxidizer VOCを燃焼させ水とCO2に分解し、よりクリーンな排気を実現する装置
合成ゴム乾燥排気の燃焼設備(鹿島工場)
グランドフレアー(四日市工場)
年度 | 2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
環境苦情件数(件) | 臭気 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
騒音 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | |
振動 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | |
その他 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
JSRグループでは、これまでの生物多様性保全に関する取り組みから見えてきた課題を整理し、2012年度に生物多様性保全に関する方針を策定しました。この方針に基づいて、具体的な活動を推進しています。
JSRグループは、持続可能な社会の構築に貢献するために、事業活動がどのように生物多様性に依存し、影響を与えているかの把握に努め、生物多様性保全への配慮を推進していきます。
JBIB※7の「生物多様性関係性マップ」を活用し、自社の事業の生物多様性への依存と影響について把握しました。これに基づいて「JSRグループの生物多様性保全方針」を策定しました。
※7 JBIB(Japan Business Initiative for Biodiversity)一般社団法人 企業と生物多様性イニシアティブ
主原料では該当品はないものの、一部の副原料に該当品があることを把握し、その影響を調査した結果、現状では問題になるものはありませんでした。今後も新たに対象となる可能性のある原料資材を使用する場合は、調査を実施します。
主原料ではないものの、コピー、刊行物、封筒、包装資材として使用される紙について、「持続可能な紙利用のためのコンソーシアム」に2013年の設立以来参画し、社会全体への持続可能な紙の利用と拡大・浸透を図っています。JSRグループでは、森林資源の持続可能な利用の観点から、2013年度に「JSRグループ紙調達に関するガイドライン」を策定し、これに従い、社用封筒やコピー用紙等について「古紙を主原料とする用紙、又はFSC等の森林認証紙」を優先的に調達する活動を推進しています。また2018年度には、FSCの認知度向上を目的に、FSCジャパンが主催するキャンペーン”みつけよう。森を守るマーク。FSCフォレストウィーク2018”にも賛同し、FSCマークの普及に協力してまいります。このキャンペーンは、「いつものお買い物で森は守れます。見つけよう。森を守るマーク」をコンセプトに、一般生活者に対するFSCの普及啓発を目指すものです。本キャンペーンの詳細は以下のURLをご覧ください。
FSCフォレストウィーク2018(外部サイト)
国内3工場および筑波研究所では、JBIB「いきもの共生事業所推進ガイドライン」に基づいて行った事業所緑地の調査結果および専門家の協力を得て作成した緑地改善計画を基に、2014年度までに緑地の整備を行いました。その後は各事業所が主体的に活動を継続しています。
四日市工場 | |||||||
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|
![]() 緑地内の植生・生物の説明用看板 |
千葉工場 | |||||||
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![]() |
鹿島工場 | |||||||
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![]() 生物モニタリング調査の様子 |
筑波研究所 | |||||||
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![]() 活動当初(2012年6月) ![]() 現状(2017年6月現在) |
環境配慮型製品の基準に盛込み、推進しています。
各事業所での取組みの中で、各種イベントを紹介しています。
JSRは以下の2点を目的に、1999年度より環境会計を導入しています。
JSR株式会社(JSR本社、四日市工場、千葉工場、鹿島工場、各研究所)
2017年4月1日〜2018年3月31日
※ 単位 百万円
※ 略称 YP:四日市工場 KP:鹿島工場 CP:千葉工場 と省略する
分類 | 主な取組みの内容 ( )内の数値は百万円 |
投資額 | 費用額 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
2016年度 | 2017年度 | 2016年度 | 2017年度 | |||
(1)事業エリア内コスト | 291 | 584 | 4,228 | 4,017 | ||
内訳 | (1)-1 公害防止コスト |
投資:大気汚染、水質汚濁、臭気対策等 (YP:廃水設備対策:157、等) 費用:大気汚染防止維持管理費(586)等 |
197 | 346 | 1,773 | 1,577 |
(1)-2 地球環境保全コスト |
投資:自家発電等(YP:ボイラー付帯設備更新(58)、等) 費用:自家発電維持費用(798)等 |
45 | 75 | 866 | 890 | |
(1)-3 資源循環コスト |
投資:産業廃棄物処理設備更新・リサイクルセンター設置等 費用:産業廃棄物のリサイクル費等 |
49 | 164 | 1,589 | 1,550 | |
(2)上・下流コスト | 0 | 0 | 0 | 0 | ||
(3)管理活動コスト | 費用:環境負荷監視、ISO14001維持・運用等 | 4 | 15 | 523 | 485 | |
(4)研究開発コスト | 費用:環境配慮製品、法申請等のための試験等 | 0 | 0 | 1,380 | 1,384 | |
(5)社会活動コスト | 費用:環境保全団体寄付金、ICETT支援、等 | 0 | 0 | 41 | 41 | |
(6)環境損害対応コスト | 0 | 0 | 0 | 0 | ||
合計 | 295 | 599 | 6,172 | 5,927 |
環境保全効果の分類 | 環境パフォーマンス 指標 |
単位 | 2016 年度 |
2017 年度 |
差異※8 | 関連 情報 |
---|---|---|---|---|---|---|
事業活動に投入する資源に関する環境保全効果 | 総エネルギー使用量 (原油換算) |
kL | 267,500 | 266,300 | -1,200 | 詳細へ |
PRTR法該当物質取扱量 | トン | 880,814 | 903,081 | 22,267 | 詳細へ | |
水資源使用量 | 千m3 | 14,400 | 14,200 | −200 | 詳細へ | |
事業活動から排出する環境負荷および廃棄物に関する環境保全効果 | CO2排出量 | トン | 657,400 | 652,800 | -4,600 | 詳細へ |
SOx排出量 | トン | 5 | 5 | 0 | 詳細へ | |
NOx排出量 | トン | 305 | 335 | 30 | 詳細へ | |
PRTR法対象物質排出量 | トン | 276 | 292 | 16 | 詳細へ | |
総排水量 | 千m3 | 12,161 | 12,108 | -53 | 詳細へ | |
COD排出量 | トン | 459 | 457 | -2 | 詳細へ | |
全窒素排出量 | トン | 139 | 156 | 17 | 詳細へ | |
全リン排出量 | トン | 0.7 | 0.7 | 0 | 詳細へ | |
工場外排出廃棄物量 | トン | 24,394 | 23,116 | -1,278 | 詳細へ | |
外部リサイクル量 | トン | 23,977 | 22,445 | -1,532 | 詳細へ | |
外部処理廃棄物減量 | トン | 417 | 670 | 253 | 詳細へ | |
外部最終埋立処分量 | トン | 0 | 0 | 0 | 詳細へ | |
PRTR法対象物質移動量 | トン | 342 | 536 | 194 | 詳細へ | |
その他の 環境保全効果 |
製品の輸送量 | 百万 トン キロ |
562 | 534 | -28 | 詳細へ |
輸送における CO2排出量 |
トン | 25,495 | 24,437 | -1,058 | 詳細へ | |
環境苦情件数 (臭気、騒音、振動) |
件 | 0 | 0 | 0 | 詳細へ |
※8 前年対比の改善量は生産量を補正していません。
効果の内容(1年間の効果額) | 効果額 | ||
---|---|---|---|
2016年度 | 2017年度 | ||
費用削減 | 省エネルギーによる費用削減 | 64 | 185 |
省資源による費用削減 | 130 | 51 | |
廃棄物社内処理化による費用削減 | 588 | 397 | |
合計 | 782 | 633 |
投資額 | 費用額 | 効果額 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
2016 年度 |
2017 年度 |
2016 年度 |
2017 年度 |
2016 年度 |
2017 年度 |
|
JSR単独 | 295 | 599 | 6,172 | 5,927 | 782 | 633 |
グループ企業計 | 102 | 157 | 2,216 | 2,112 | 428 | 399 |
合計※ | 397 | 756 | 8,388 | 8,040 | 1,210 | 1,032 |
※ JSR本体とグループ13社の合計
JSRは、環境・安全に対して継続的に投資を行っています。2017年度は、省エネ対策などの各種環境設備投資、および労働災害防止対策をはじめとする各種安全設備投資を合わせ、84億円の投資を行いました。今後も、設備投資中期計画に従い、環境・安全・健康を維持・向上させるために積極的な投資を行っていきます。
プロセス開発センターを中心とした環境保全対策新技術の開発に積極的に取り組んでいます。最近の技術開発では以下の課題に取り組んでおり、完成したものから順次採用しています。